「弁理士の仕事」
2018.01.31
特許 このメルマガの読者の方には当たらないと思いますが、一般的には弁理士という職業の知名度はまだまだ低いと感じることがあります。「弁理士」よりも「特許」や「商標」という言葉の方が知られているのではないでしょうか。日本弁理士会も「弁理士」の PR のため、色々な活動を行っています。昨年は広島平和マラソンの協賛スポンサーとなり、私も含め弁理士有志も出走しました。では弁理士はどんな仕事をしているのでしょうか?
弁理士にも専門分野があり人にもよりますが、特許系の弁理士は、出願書類の作成と、特許庁からの拒絶理由対応が主な業務となります。出願書類を作成する場合は、まずクライアントと打合せをして技術内容を理解した上で、発明のポイントを特定し、従来技術を考慮して明細書のストーリーを作って書いていきます。
この段階では基本的にパソコンに向かってもくもくと文章を書いたり図面を作ったりしている感じですが、不明な点があれば出願人に質問したり関連技術について書籍等で調べたりします。
また、外国出願の場合は、英文の出願明細書を作成するため、単語の選択などについて辞書を見ながら悩むこともあります。
私はエンジニアから特許業界に入りましたが、その前は「技術と法律とがどうやって結びつくのだろう」という素朴な疑問を持っていました。それが端的に表れるのがクレーム(特許請求の範囲)という部分です。
クレームは、まさに発明内容を文章化したものであり、特許庁での審査の中心となり、場合によっては訴訟等で後々争われる部分です。そのような肝とも言える部分であるクレームを作るのは、技術を深く理解した上で、各国の法律や審査基準も考慮に入れて、的確に文章化しなければいけないので、きつい作業でもありますが、論理パズルみたいなところもあって楽しい作業でもあります。どのように書くか一日悩んだ後、通勤中や寝ているとき等にぱっとひらめくこともあります。
(日本弁理士会中国会 弁理士 立石 博臣)