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「生成AIと知財」

2023.06.14

最近、ChatGPT等の生成AIについての話題が連日大きく取り上げられています。ChatGPTによれば、質問に対する回答文章の作成だけでなく、文章の添削や校正、要約も可能であり、更にはプログラミングまで行ってしまうようです。その他にも、画像や動画、音楽などのコンテンツを生み出すことができる生成AIも存在しております。
そんな中、先日(2023年5月1日)、一般社団法人日本ディープラーニング協会から「生成AIの利用ガイドライン」(第1版)が公開されました。そこでは、生成AIについて、「ユーザが何らかのデータを入力して何らかの処理(保管、解析、生成、学習、再提供等)が行われ、その結果(生成物)を得る」構造だと定義され、生成AIにより生成される生成物と知的財産権との関係に関しても記述されています。
抜粋すると、生成AIからの生成物が、既存の著作物と同一・類似している場合は、当該生成物を利用(複製や配信等)する行為が著作権侵害に該当する可能性があること、画像生成AIを利用して生成した画像や、文章生成AIを利用して生成したキャッチコピーなどを商品ロゴや広告宣伝などに使う行為は、他者が権利を持っている登録商標権や登録意匠権を侵害する可能性があること、生成AIを利用しての創作活動に人間の「創作的寄与」があるか否かによって著作権が発生するか否かの結論が分かれること等が記述されております。AI生成物を利用する場合に、依拠性を要件とする著作権侵害についても配慮しなければならない点については留意が必要です。
今後、生成AIをビジネスに活用するケースは益々増えていき、その活用形態もバリエーションに富むものとなると思われます。生成AIを活用するうえで知的財産権との関係は切り離せないものですので、ぜひ、我々弁理士にご相談頂ければ、お役に立てると思います。

(日本弁理士会中国会 弁理士 田中 俊夫)