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「意匠の新規性喪失の例外について」

2023.12.22

意匠の新規性喪失の例外として、一定の要件を満たす意匠について、新規性等が喪失しなかったものとする「意匠の新規性喪失の例外」が定められています。新規性喪失の例外規定は、「証明する書面」に記載された公開意匠が所定の要件を満たしたときに、当該公開意匠に限って、新規性(意匠法第3条第1項各号)及び創作非容易性(意匠法第3条第2項)の登録要件の判断において、公知意匠に該当するに至らなかったものとみなす規定です。

新規性喪失の例外規定は、出願前一年以内に自らの行為に起因して新規性を喪失した意匠であれば、出願された意匠と同一、類似又は非類似を問わず適用されます。今回このメルマガへの投稿に当たり、最も強調したい点が、「非類似であっても新規性喪失の例外規定の適用を受けることができる」ということです。「非類似であっても新規性喪失の例外規定の適用を受けることができる」のです。

あなたの会社が、展示会への出品にあたり商品タイプAを出品したと仮定します。商品タイプAの意匠出願をするに際しては、新規性喪失の例外規定の適用を受ける手続きをしました。一方、代案として同時期に開発され、展示会への出品もしなかった商品タイプBは、通常の意匠出願をしたとします。

商品タイプBの意匠出願について、展示会への出品された商品タイプAを公知例の証拠として、拒絶を受ける可能性があります。意匠出願前の段階における類似か非類似かは自らからの判断にしか過ぎませんから、確実に非類似であるとの自信が無いのなら商品タイプBについても、商品タイプAの展示会への出品を理由に、新規性喪失の例外規定の適用申請するのが無難です。たとえ本当に非類似であったとしても、新規性喪失の例外規定の適用を受けることができるのです。

日本弁理士会中国会 弁理士 T.K