「商標権の使い道」
2018.08.21
意匠・商標観光地・駅・空港・港では、ご当地のお菓子を売っています。お菓子屋さんが、自分の商品を“お菓子”とネーミングしても、お客さんはどこのお菓子がほしいのか分かりません。そのため、商品であるお菓子それ自体、パッケージ、箱、包装紙、手提げ袋などに、そのお菓子の目印となる名前・お店の名前・作った人にちなんだ言葉といった文字、イラストが印字されています。このような印字されている目印を“商標”といい、特許庁に申請することにより、商標権という、強力な武器を得ることになります。
商標権という武器が得られると、第一に、自分の申請よりも後に他人の同一か似た商標の申請があると、特許庁が勝手にその他人の申請を拒絶、つまり、登録させないということができ、安心して、自分の商標を使用することができます。
第二に、他人に、商品・サービスメニューについて自分の商標を使わない、さらには、紛らわしい商標について使わないでくれと、小さな会社であっても大きな会社に、交渉ができるばかりでなく、法的に守ることができるようになります。
このような商標権は、10年という区切りで、なくなってしまいます。そのため、商標権が登録されて10年目になる前に更新申請という手続きをします。また、商標権は土地・建物の不動産と同様、財産権という権利ですので、相続させることもできます。
山口県周南市・光には、先の大戦中、“回天”という特攻兵器の基地がございました。その回天という名を商標として使用される小さなお菓子屋さんがございます。販売される前に、そのお菓子の名前に“回天”という名を付けて、ご自身で申請され、無事に登録され、その後、そのお菓子は販売開始されました。今でも、その商標権は、更新され、相続により後継者が引き続き持たれています。商標は、その商品・サービスを始められた方の思いも、後世に伝えることができます。
(日本弁理士会中国会 弁理士 森田 義則)