日本弁理士会 中国会

MENU

知財コラム

ヨット ヨット
中国会はっぴょん 知財コラム

「『令和』の商標出願について」

2019.06.19

令和元年になって、誰もこのメルマガで触れていないので、ちょっと調べてみました。「令和」の商標出願です。特許庁の現在の審査基準によると、新旧の元号を商標として原則登録できないようになっています。元号それ自体だけではなく、元号と普通名称を組み合わせたケースも原則に審査を通りません。このようなことは、NHK「生活笑百科」や、ニュースなんかで取り上げられており、広く周知されたのか、4月1日以降の実際に出願では、元号そのままではなく、色々なアレンジをくっつけて上記の原則を回避しようと試みている出願が多いです。
例えば、「令・和」のように、「・」を入れたものも出願されており、かつて、有名居酒屋チェーンの2文字の店名の間に「・」を打った看板を掲げて商売していた広島県内の居酒屋に、商標侵害で警察が家宅捜索に入ったことを思い出しました。このときの居酒屋店主は、間に『・』も付いているので大丈夫だと思ったと主張していましたっけ。
デイリー新潮(5/13 配信)なんかでは、「令和蔵」を出願した月桂冠のインタビュー記事を出しています。月桂冠は、かつて「平成蔵」を出願して登録を受けているので、狙っていましたね。「平成蔵」は平成最初の日(1月8日)の翌日出願だったのに、「令和蔵」は元号の発表当日ですね。他に「令和蔵」を同日に出願した人は居なかったので、「××藏」を元号シリーズ化できそうな状況です。
「平成蔵」は、すんなり登録されていますが、「令和蔵」はどうなるでしょうか。j-platpat で称呼「レイワ」で検索すると116件出てきますが(6/11 現在)、4月1日以前のものは「愛美礼和」の1件しかヒットしませんでした。
尚、上記原則に対して、すでに広く浸透しているケースなどには例外として登録が認められる可能性があります。つまり、使用の実績を積んで、多くの需要者が特定の一法人を識別することができるようになっているケースが該当しますが、このようなケースが出てくるのは、まだ先でしょう。

(日本弁理士会中国会 弁理士 T.K)