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「発明の新規性喪失の例外について」

2024.06.17

発明について特許を受けるためには、新規性を有することが条件になります。このため、特許出願をするまでは、発明内容を公開することなく、公に知られていない状態を維持していなければいけません。
しかし、公に知られてしまった発明であっても特許を受けられる可能性があります。救済制度として、日本では「新規性喪失の例外規定の適用」という制度があります。
この制度は、特許を受ける権利を有する者の行為に起因して発明内容が公開された場合、例外的にその発明は新規性を失っていないとして取り扱うものです。この制度を利用するには、公開から1年以内に出願を行うとともに所定の手続を行う必要があります。
このように、発明を公開してしまったとしても特許を受けられる可能性がありますが、公開から1年以内に出願すれば全てが救済される保証はありません。例えば、第三者が公開された内容を見て、模倣品を作製して公開した場合などでは、要件である「特許を受ける権利を有する者の行為に起因する公開」を満たさなくなるため、救済されません。また、現代のネット社会では、有益な情報は即座に拡散されてしまいます。拡散された情報の同一性にも拠るでしょうが、どこまでが「特許を受ける権利を有する者の行為に起因する公開」として取り扱ってもらえるのか明確とは言えません。また、外国では同様の制度がない国が大半ですので、ほとんどの国では特許を受けられなくなります。
新規性喪失の例外規定の適用という制度があるものの、公開する前に出願すべきこと、また、やむなく公開した場合でも猶予期間が1年あると思わずに、できるだけ早く出願することが望ましいです。

日本弁理士会中国会 弁理士 W.S.