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「東京都知事選挙のニュースに思う」

2024.07.17

このところ、東京都知事選挙が話題をふりまいている。安芸高田市の前市長石丸伸二氏の選挙活動がセンセーショナルである。地方創生を謳いながら、まず「東京を動かし」、それから「日本を動かす」という。選挙の顛末はともかく、広島の一小都市の首長が日本を動かすプロジェクトを始動するというセンセーション。少子化で日本の経済は衰退の一途を辿るから、まず、東京の経済を強くし、日本を動かすという。このフレーズを身近に焼き直すと「特許出願減少で日本の知財は衰退の一途を辿る」であろうか。少子化の流れ同様、特許出願減少の流れも容易には変わらないだろう。とすれば、一つひとつの価値を上げる、ひいては毎年の差分出願件数の評価から蓄積ベースの評価の転換が求めるが、一つひとつの価値が一般に見える化されてない課題がある。農業分野の知財管理に動きがある。育成者権管理機関の設立である。育成者権とは、植物の登録品種の権利者、特許権者に相当する。海外の育成権管理機関では、育成者権者の意向を踏まえ、専任的に知的財産権の管理、国内外での侵害の監視・対応、海外ライセンス供与を実施するという。例えば、特許権管理機関を設け、同様の仕組みを制度化できないか? 権利者も特許権管理機関に利用料を支払うとすれば、特許権利者の事業が特許権から受ける収益が「見える化」される。発明者への報償根拠も見える化され、モチベーションがあがる。政策的に特許権管理機関に資本注入しライセンス収益を嵩上げしたり、利用者へ減税・補助金を提供したり、様々な政策的な仕掛けの制度がプランされよう。しかもこの仕組みは、地方レベルでも実施することも可能ではなかろうか? 情報発信という視点で「広島の知財経済を動かし、日本を動かす」意気を期待したい。歴史は地方から変革が促されることを教える。

日本弁理士会中国会 弁理士 久保 雅裕