「知財戦略について考える」
2024.11.18
その他近年、オープンクローズ戦略、IPランドスケープ等、知財戦略に関するキーワードを目にする機会が増えてきており、知財戦略についての関心の高まりを感じることができる。一方で、企業戦略の中で知財戦略がどのような位置づけにあるのかといった問いや、そもそも知財戦略とは何なのかといった問い対し、ストレートに答えとなるような情報はまだまだ少ないように感じる。また、一般的には、事業戦略、研究開発戦略及び知財戦略を三位一体のものとして推進すべきと言われるが、そのために具体的にどうするべきなのかを示す情報はまだまだ少ないと思われる。
知財戦略とは何なのかという問いに対する答えは、企業知財担当者、企業支援者、専門家のそれぞれが自問自答しながら創り出すものと考えるが、自身の場合は、知財戦略とは、経営戦略や、その下流側にある機能別戦略のそれぞれの中において、知財に関する権利や情報をいかに効果的に用いるかという考え方であると捉えている。すなわち、知財戦略は、それ単体で議論されるべきものではなく、企業において各戦略を検討する際に一体的に組み込まれて検討されるべきもの、と自身では考えている。
このような考え方に立つと、まず、企業における戦略の在り方に対する理解が必要になり、全体的な企業戦略像を理解した上で、ようやくそれと並行的に知財戦略を検討することができるようになると思われる。そのためには、企業における戦略を全体的に理解するマクロ的な観点と、知財や知財権を理解するミクロ的な観点の両方が必要になると思われる。マクロ的観点、ミクロ的観点の両方を持った知財人材が増え、知財で輝く企業がますます増えていくことに期待したい。