知財コラム

「発明と権利範囲」

特許は、権利範囲が広くまた強いことが望ましいことは言うまでもありませんが、1つの特許でカバーできる範囲には限りがあります。広く強い権利とするためには、コアとなる特許の周囲を関連する特許で固めることが有効であり、これにより特許ポートフォリオ(特許網)を構築することができます。
コアとなる発明Aを権利化した場合、この周囲を他の特許で固める方法としては、
(1)発明Aを深掘りしその周囲を権利化する方法、
(2)発明Aの上流(川上)側又は下流(川下)側を権利化する方法が考えられます。
例えば発明Aが、複数の原材料を反応させ得られる薬剤aの場合、深掘りする方法であれば、一部の原材料の変更、配合割合の変更、反応条件の変更等により特性の異なる薬剤a1,a2,a3・・・等を発明し権利化する方法が該当します。
一方、発明Aの上流/下流側を権利化する方法としては、原材料の前処理方法、薬剤aの後処理方法、性能評価方法,性能評価装置などの発明を権利化する方法が該当します。
発明Aを深掘りしその周囲を権利化する方法は、基礎発明Aに対する改良発明A1,A2,A3・・・によく見られます。この方法は、技術的思想が共通するため行い易く、製品のバリエーション,ラインナップを増やす上で効果的といえます。
一方、発明Aの上流/下流側を権利化する方法は、深掘りする方法に比べて気付き難くせっかくの発明が見逃されている可能性がありますが、この方法は、事業を行っていく上で強力な武器となる場合があります。ある発明をした場合、是非その周囲を見回してみて下さい。

(日本弁理士会中国会 弁理士 專徳院 博)

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