知財コラム

「コロナ対策での飲食業界の業態転換と商標」

新型コロナウイルス感染拡大防止のための新しい生活様式に対応しようと、飲食業界で業態転換が進められています。外出自粛や在宅勤務・リモートワークを実施する人が増え、自宅で食事する人が増加したことで、これまで店内でのみ料理を提供していた飲食店が、宅配やテイクアウトへの対応を進めています。そのようなときに使用する商標について、留意していただきたいことがあります。
第一に、特許庁の類似商品・役務審査基準では、店内での飲食物を提供するときの指定役務(第43類の飲食物の提供)に、飲食物の宅配・テイクアウトが含まれていませんし、類似商品・役務にも該当しないことです。その基準によれば、飲食物の提供についての登録商標を有していても、その権利範囲は飲食物の宅配・テイクアウトに及ばないことになります。
第二に、宅配・テイクアウトではイートインよりも商圏が広くなりますので、一般的にインターネットを介して広範囲の人々へ宣伝・広告されますが、周知商標や登録商標の権利者が存在しているにも関わらず、そのような商標を使用して
いると、その権利者から商標の使用がインターネットを介して発見されやすく、紛争リスクが高いと考えられることです。
そこで、新たに宅配やテイクアウトに進出する場合、自己の登録商標の指定商品・指定役務の内容を確認したり、自己が使用しようとしている商標と抵触する第三者の周知商標や登録商標が存在していないかを調査したりすることをお勧めします。

(日本弁理士会中国会 弁理士 須田 英一 )

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