知財コラム

「柔道と商標」

今年の夏、コロナ禍の中で遠出も出来なかったので、オリンピックの中継を楽しませてもらった。コロナ禍の中でのオリンピックの開催は、批判もあったが、それはそれとして超人達の美技には感動させてもらった。特に開会式直後からの柔道競技は、日本選手達の活躍もあり大変楽しませてもらった。柔道競技では競技以外にも、弁理士の職業病か、柔道衣に付された商標に目が向いた。
まず、目に付いたのは日本発祥の競技であるためか日本選手をはじめ多くの外国選手は「走る鳥の図形」の図形商標が付された柔道衣を着けていたことだ。
「走る鳥の図形」については、「ランバード」という語から来るイメージを図案化した美津濃株式会社の図形商標だと思い調べてみた。
すると、美津濃株式会社の指定商品「運動用特殊衣服(柔道衣)」の商標については、1980 年に文字商標で「RUNBIRD」が登録されており、その後 1992 年に、「走る鳥の図形」の上に文字で「RUNBIRD」と書いた文字+図形の商標が登録されていた。
今回の柔道衣には、「走る鳥の図形」だけが付されていたので、さらに調べてみると、2003 年に「走る鳥の図形」だけの図形商標も登録されていた。
美津濃株式会社としては、柔道衣の分野では「走る鳥の図形」だけでも、十分世界に通用する識別力が生じており、柔道衣への使用は「走る鳥の図形」商標だけで十分であると考えたのだろう。
なお、柔道衣の他の商標としては、柔道が全世界に普及しているスポーツであることを感じさせる「アディダス」の商標や、柔道では「指導」を採られるぞとツッコミを入れたくなる「男女が背中合わせで体育座りをするマーク」の「カッパー(Kappa)」の商標などが目を引いた。
さらに、目に留まった商標としては、鳥居の形状に良く似た商標で、最初は、鳥居の霊力を期待した何かのおまじないかと思つたが、インターネットで調べたところ、イギリスの Fighting Films という柔道衣メーカーの商標であるようだ。
柔道競技を見たことで柔道衣の製造・販売業界の動きも同時に楽しませてもらった。

(日本弁理士会中国会 弁理士 木村 正彦)

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