「不正競争防止法に基づく警告」
2022.01.25
その他弁理士の多くは、特許や商標等に係る業務がほとんどであると思います。かかる日常において、顧客から不正競争法に基づく警告について相談を受けたときは戸惑います。条文やその要件の確認、関係論文の調査などを行うことになります。
なかでも、不正競争防止法 2 条 1 項 1 号と 3 号の場合について説明します。
2 条 1 項 1 号の不正競争行為とは、(1)他人の商品等表示として(2)需要者の間に広く認識されている(周知)と(3)同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡等して、(4)他人の商品または営業と混同を生じさせる行為をいいます。ここで商品等表示とは、人の業務に係る氏名、商号、商標、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものとされます。
上記5要件についてそれぞれ証拠をもって証明する必要があります。特に(2)の周知は、全国的なくてもよいとされます。警告書に「当社○商品は、世界各国で○年○月より○億円の販売をしており、周知・著名になっています。」と記載されていても、「周知」の具体的証拠は求めるべきです。実際、上記相談において周知を証明する資料の提出はありませんでした。2 条 1 項 3 号は、デッドコピーが該当するとされ、「それが酷似しているのであれば、それだけで保護を認めるべきというような発想をとるべきではないでしょうか。さしたる飛躍が認められない商品をも保護する制度であるからこそ、販売開始後 3 年という短い保護期間になっているのです。」とされます。不正競争防止法による保護は、例えば未登録の商標でも保護の対象になります。しかしながら、各要件を満たすのは容易ではありません。不正競争防止法のみに基づく警告は、最後の手やむなく不正競争防止法と考えられます。模倣を防止したい商品(発明、意匠又は商標等)は先ず出願し権利を取得したいところです。
(日本弁理士会中国会 弁理士 鶴亀 國康)