知財コラム

「押印の廃止について」

昨年度、押印を求める手続の見直し等のための経済産業省関係政令の一部を改正する政令やこれに関係する省令が施行され、特許庁に対する申請手続の大部分について、押印が不要になりました。詳しくは、特許庁のホームページを見ていただければと思います。これによれば、特許庁へ紙で特許や商標等の出願をする場合には、押印や識別ラベルの貼付が必要なくなりました。
弁理士である私の業務に関しては、大部分をインターネット(オンライン)により手続きを行っているので、押印を意識することは余りありませんでした。
ところが、先日指導という形で、多人数の未成年者が共同出願人として特許出願をするという場面に接しました。もちろん、オンライン出願も可能なのですが、法定代理人の全てが、電子証明書付きのマイナンバーカードを取得する必要があることから、紙で出願することになったのです。
この場合以前であれば多数の印鑑の管理が必要であったところが、押印の廃止は確かに便利になっているなと実感しました。
この様な手続きを指導したことで、疑問に思うことが発生したので、自分には関係ないとは思いつつ、つい調べてしまいました。
それは、複数人が出願人(代理人)となる場合に、オンライン出願を行った場合は、代表者として一人がオンラインで手続きを行うわけですが、オンラインで手続きを行わなかった他の出願人(代理人)については、出願日から3日以内に、手続補足書で意思確認を特許庁にする必要があります。この場合に、オンラインで手続補足書を出すだけでなく、書面による提出も可能でしたが、書面による意思確認の手続補足書には押印が不要となっているため、特許庁に確認すると書面による意思確認の手続補足書の提出をしなくても良いとの返答でした。オンラインでは意思確認の手続補足書を出す必要があるのに、書面による提出が不要という話は平仄が合わないようにも感じました。
なお、特許権等の移転登録に関する手続については、押印は存続し、この手続については、届出印ではなく、実印と印鑑証明書の提出が必要であるので、こちらは、厳格な運用になるようです。

(日本弁理士会中国会 弁理士 木村 正彦)

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