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「知的財産高等裁判所」

2022.10.05

皆さんは、日本にどんな裁判所があるのか知っていますか?
現在、日本には、司法機関における最高機関である最高裁判所、下級裁判所の中の最上位の裁判所である高等裁判所、原則的に訴訟の第一審を担う地方裁判所、家庭に関する事件等を担当する家庭裁判所、日常生活において発生する軽微な民事事件・刑事事件を迅速・簡易に処理する簡易裁判所が存在しています。その中で、高等裁判所の特別の支部として置かれているのが、知的財産高等裁判所です。知的財産高等裁判所は、知的財産に関する事件を専門に取り扱う裁判所です。特許庁が行った審決に対する不服申立てとしての審決取消訴訟は、知的財産高等裁判所が全国の事件をすべて取り扱います。特許等の知的財産に関する判断は極めて専門性が高いため、専門の裁判所である裁判所が第一審とされています。また、重要な事件や社会的に注目されている事件に関しては、5 人の裁判官の合議体からなる「大合議」により、審理と裁判が行われます。この「大合議」による判決は、その結果が企業活動に大きな影響を与えると考えられています。また、その専門性から、より慎重な判断が必要となる場合もあるため、実際に大合議で判決がなされた場合には、最高裁での判断がなされる可能性が高いといわれています。最近では、PBPクレーム事件で、最高裁が大合議判決により示された製造限定説を原則とする二元論を破棄しました。同時に、原則として考えられていた物同一説を採用するとともに、判断基準を示したことで、実務に大きな影響がありました。そのため、大合議判決がされた場合には、実務家としてその後の経緯に注目する必要があります。

(日本弁理士会中国会 弁理士 T.I)