「リンカーンと特許」
2023.02.01
特許アメリカ合衆国第 16 代大統領であるエイブラハム・リンカーン。彼のあまりに有名なゲティスバーグ演説の一部は翻訳され、我が国の憲法前文にそのまま盛り込まれており、我が国との関係でも彼の影響は非常に大きいものがあります。また、奴隷解放宣言をした人物、アメリカ合衆国の大統領史上初めて暗殺された人物、俳優のトム・ハンクス氏と遠縁であるなど、数々の逸話がある人物でもありますが、同時に、歴代のアメリカ合衆国の大統領史上唯一、特許権を取得している人物であることはあまり知られていないかもしれません。
彼の特許は、 「浅瀬を航行する船 」の特許(米国特許番号 6,469 号)。布製の袋を膨らませて船の縁等に付けることにより、船を水に浮かせ、浅瀬でも進水できるという特許です。スミソニアン博物館にはこの船模型が展示されているようなので、いつか見に行ってみたいです。
アメリカ合衆国は建国当時から特許制度により産業振興を図っており、リンカーン自身も特許奨励をしました。そのため、アメリカ合衆国は、19 世紀には特許の登録件数で世界一になりました。その精神は今も脈々と受け継がれており、「特許制度は天才の熱情という炎に利益と言う油を注いだ」というリンカーンの言葉が、米国商務省の玄関脇に今も掲げられています。
(日本弁理士会中国会 弁理士 T.I)