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「外国特許出願について」

2019.11.20

 ご存じかとは思いますが、日本に居住しながら外国に特許出願をすることができます。ただし、その方法や考え方は様々あり、例えば、日本に出願した特許を外国にも展開する場合や、日本には出願していないが外国にのみ出願したい場合等があります。
 日本に出願せずに外国に出願したい場合、現地の代理人を利用してその国に対して手続きをすることになるので、出願の際には、基本的に現地語への翻訳が必要になり、出願国数が多ければ多いほど、出願時の負担が大きくなります。殆どの国が先願主義を採用しているので、この問題はより一層顕著になります。
 日本に出願した特許を外国に展開する場合も、同様に、現地の代理人を利用してその国に対して手続きをすることになりますが、ルートは大きく2つあります。
 1つめのルートは、いわゆるパリルートと呼ばれており、日本の出願を基礎とし、基礎出願日から1年以内に各国に手続きするものです。このルートでは、基礎出願日から1年以内という猶予があることから、複数国出願する場合であっても若干余裕が生まれます。
 2つめのルートは、いわゆるPCTルート(国際出願)と呼ばれており、日本の出願を基礎とし、基礎出願日から1年以内に国際出願をするものです。国際出願は日本語で行うことができ、国際出願をしておくことで、この制度に加盟した100 カ国以上の国に対して出願したものとして取り扱われます。そして、国によっても異なりますが、基礎出願日から30ヶ月以内に翻訳文等の提出手続を行えば、その国で審査を受けることができます。上記パリルートよりも猶予期間が長いので、特に複数国出願する場合に、負担や費用の発生時期を分散できる等、出願人にとってメリットがありますが、出願人が受けるメリットはこれだけではなく、もっと大きなメリットがあります。次回、私が担当する当コラムでご紹介します。

(日本弁理士会中国会 弁理士 斎藤 克也)