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知財コラム

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「英オックスフォード大知財研究所とWIPOジュネーブ本部の活動について」

2020.02.20

 私は中国地区にて弁理士業を行うとともに、毎年春先には英国オックスフォード大および国連WIPO(世界知的所有権機関)ジュネーブ本部にて在外執務を行っています。

まず当方が客員法学者として研究執務のオックスフォード大知財研究所(OIPRC)においては、ISSワーキンググループとよばれる欧州全域の主要大学トップ研究者を招聘した知的財産法政策に係る研究討議会合が毎週実施されています。同ワーキングにおいては、標準必須特許、NPE対応および代替的紛争処理等の政策課題に対する各国における法政策展望のあり方が議論され、主要国におけるアカデミアの方向性に大きな影響を与えています。

また私が国際知財仲裁判事として登録執務するWIPOジュネーブ本部においては、標準必須特許およびフィンテック紛争等に係る最先端の国際知財紛争について、迅速かつ効率的な解決手段を提供すべく、国際知財仲裁調停センターの設置提供および同手続きの電子化・リモート化を大胆に推進し、必要な利用ガイドラインを日本語を含む主要国言語にて随時提供しています。さらに同本部では近年注目を増すIPランドスケープについても、2000年代以降から継続的にアウトプットを提供しており、特に環境保全、公衆衛生、持続可能な開発などの分野において優れた特許・知財分析成果を発信し、各国におけるイノベーションの動向に影響を与えています。

以上のとおり、英国・ジュネーブなど欧州地域においても日々世界をリードする知財政策討議が活発に行われ、結果として日本国の知財政策にも実質的な影響をもたらしているものと考えられます。

(日本弁理士会中国会 弁理士 竹内 誠也)